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青空文庫は、「電子化された本(テキスト)を誰もがいつでも自由に読める」ようにすることを目的とした「インターネット上の本棚」です。
ここには、以下の2種類の著作物をおさめていきます。
1)すでに著作権が消滅した著作物。
2)著作権所有者が金銭の授受をともなわない公開に同意した著作物。
この内、著作権の生きている作品の取り扱いには、特に注意が必要です。たとえ絶版になっていて手に入りにくいといった事情があったとしても、公開に対する著作権者の同意がえられていない作品は、収録できません。
すべての著作物は著作権によって保護されています。著作者が亡くなったあとも、著作権の保護は継続します。現行の法律では、その期間は、「著作者の死後50年間」と定められています。より正確には、「著作権は著作者の死から50年を経過した年の12月31日をもって消滅」し、自由に公開できるのは「翌年1月1日から」です。
「著作権が消滅した作品」は、原則的に、自由に電子化して公開できます。どの作品を選ぶかは、入力にあたろうとする人の判断に委ねます。青空文庫の側で作品を割り当てることは、基本的に行いません。
「著作権が生きている作品」については、「著作権所有者への公開の依頼は行わない」を原則とします。したがって、登録は「著作権所有者ご本人からの申し入れ」があった場合もしくはそれに準ずる場合に限ります。
作者が存命の場合、あるいは死亡していたとしても死後50年を過ぎていないあいだは、著作権が存続しています。 権利が生きているとはつまり、これを支えに暮らす人、支えとしたいと願う人が、確実に存在するということです。 そうした人たちに「作品を公開させて欲しい」と願い出ることには、彼らの暮らしや願いを脅かす要素が否応なく紛れ込んでしまいます。
みなさんの自発的な意志を頼んで作業を進めることは、青空文庫にとって健全なあり方でしょう。 しかし著作権者への公開要請に関しては、これが裏目に出る危険を覚悟しなければなりません。 一人一人はていねいに依頼し、断られた際の見切りも素早かったとしても、異なった人から要請が繰り返されれば、著作権者は強い不安を覚えるはずです。 私たちには、権利の所有者を煩わせたり、精神的に脅かしたりする資格はありません。 とすれば私たちは、著作権者への公開要請を、原則的に慎むべきだろうと考えます。
権利所有者からの自発的な公開申し入れがない限り、青空文庫は、著作権の存続する作品の収録をおこないません。 存命の作者には、青空文庫の狙いを伝えることまでを、働きかけの限度とします。作者との特別な信頼関係がない限り、公開の検討も申し入れません。 著作権継承者に対しては、青空文庫を名乗っての連絡、公開要請など、一切の働きかけをおこないません。 この原則を、どうぞ受け入れて下さい。
以上のことは、底本(入力の元にする本)をどう選ぶかに直接関係してきます。いくら好きな小説だからといって、「著作権が生きている作品」を勝手に登録・公開するわけにはいきません。その小説が翻訳作品の場合には、原著者の著作権に加えて、翻訳者の著作権が存在します。
編集や校正がどこまで行き届いているかは、出版社や個別の書籍によってかなり差があります。 ファイルの質を高める上で、ていねいに編まれたものを底本に選ぶことは、大きな意味を持ちます。
翻訳された作品を候補として検討する際は、「著作権について」の「使い方に関する権利」で述べた、原著者の著作権に対して、「戦時加算」が適用される場合があるので注意してください。 原著作者の保護期間は過ぎていたとしても、翻訳者の著作権が生きているかもしれません。 著作権法は、翻訳という作業を創作行為と位置づけ、それ自体に独立した著作権を認めています。 翻訳者の権利も、同じく死後50年存続します。
登録・公開したい作品があったら、まず原本の著者紹介欄などで作者の生死、逝去年を調べ、著作権について確認してください。文学系の著作者については、青空文庫内にある「著作権が消滅した作家一覧」を参照してください。
短編集や論文集などの場合には、作者だけでなく、作品の選定や配列などにあたった「編者(編集者・編纂者)」の著作権が存在する場合があります。著作権とは全く縁遠いように思われる古文で書かれた古典作品の中にも、注釈や校訂などに関する著作権が存在する場合があります。著作権の保護期間を終えていない筆者による注釈などは、登録・公開できません。
著作権切れを控えた作家の作品は、「翌々年の1月1日までに公開できるもの」に限って、着手報告を受け入れます。どんな作家の権利切れが近いかは、「死せる作家の会」のリストを参照してください。
次に、青空文庫の「公開中の作品」にあたって、入力したい作品が、すでに登録されていないか確認してください。青空文庫への登録を前提として、作業が進んでいる場合もあります。進行状況を示す「作業中の作品」にも、目を通してください。ここに記載されているものについては、原則として、新たに入力していただくことはできません。ただし「進行状態」が「入力取り消し」となっているものは、入力可能です。
旧字旧仮名で書かれた作品は、本来の姿にそった形(旧字旧仮名版)と現代表記に書き換えた形(新字新仮名版)、加えて旧字のみを新字に置き換えた中間的な形(新字旧仮名版)でも登録しています。ある形式ですでに登録、着手されている作品を、別の形で、新たに入力していただくことは可能です。
もともとは旧漢字、旧かなづかいで書かれた作品が、新しい簡略化された漢字と新かなづかいにあらためられていた場合、「本来の作品の姿が忠実に反映されていない」と感じる人がいるはずです。 逆に旧漢字、旧かなづかいのテキストを前にして、「これではとても読めない」と感じる人もいるでしょう。 こうした事情を考慮して、青空文庫では、もともと旧漢字、旧かなづかいで書かれた作品に関しては、もとの姿のままのものに加えて、新字、新かなづかいに書き替えたもの、加えて、漢字だけを新字に書きあらためたものと、異なった文字づかいによるファイルの登録を併行して行っています。
冒頭の「著作権について」のまとめで、「原則的に作者の了解なしには、著作物の内容を一字一句書き換えられない」と書きました。 ただし、同一性の保持に関する著作権法の規定には、例外が示されています。旧漢字、旧かなづかいを、現在広く使われている常用漢字と現代かなづかいにあらためることは、数少ない例外の一つです。
日本語の表記は、戦後、大きくあらためられました。 それまでは複雑な形の漢字がたくさん使われてきましたが、新たに一部の漢字の形を簡単なものに変え、使い方にも制限を加えて、わかりやすい表現が目指されたのです。かなの使い方も、それまでの旧かなづかいから、より実際の発音に近づけた現代かなづかいにあらためられました。 以来、教育は新しい方針によって進められ、法令、公用文、新聞、雑誌などもこれに沿って書き表されてきました。その結果、旧漢字、旧かなづかいの文章は、私たちの多くにとって読みにくいものとなっています。 繰り返し指摘したように、著作権法は作者の了解なしに表現をあらためてはならないと定めています。ところが日本語表記の改革によって生じた現実は、「読めなければ意味がない」という切実な要請を、この原則に突きつけました。 著作権法には、この対立のあいだで私たちがバランスをとる道が用意されています。同一性保持権の条項には例外規定が設けられており、「やむを得ないと認められる改変」については許すとされているのです。 読めるものにするために、漢字とかなづかいを最小限変えることは、この「やむを得ないと認められる改変」に該当し、著作権侵害にはあたりません。
もしもあなたが、あくまで原文に忠実であることを優先したいと考えるのなら、底本には旧漢字、旧かなづかいを採用したものを選んで下さい。戦前に刊行された本のほか、全集としてまとめられたものでは、もともとの表記がそのまま残される例が多いようです。 あなたが逆に、多くの人にたやすく読んでもらうことを優先したいのなら、常用漢字と現代かなづかいを用いたものを、底本としましょう。古典をたくさんの人に読んでもらうことを狙った文庫本の多くは、分かりやすさを目指して表記をあらためています。読みやすさを優先したい人にとって、文庫本は有力な底本の候補です。
旧漢字、旧かなづかいで書かれた作品のすべてに対して、現代表記にあらためたものが用意されているわけではありません。青空文庫を協力の場とする我々自身が、書き換えに取り組む必要も生じます。その際、あらかじめ適切な指針をまとめておけば、作業の質を高め、ファイルの信頼性を保てるでしょう。 そこで青空文庫は、「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」を用意しました。自分自身で旧字旧かなを書き換えたいと考える人は、ここに示された手順にそって対処してください。
旧漢字、旧かなづかいによる原文を、新しい表記にあらためたものを底本とする場合、その本の通りに入力していくことは、果たして許されるのでしょうか。 青空文庫の呼びかけ人は、「許される」と考えています。 すでに青空文庫では、表記をあらためたものをもとに多くの作品を入力してきましたが、そうした際も、出版社に連絡したり許可を取るといったことはしていません。
原文にあくまで沿いながら最小限の書きあらためをおこなうことには、確かにその作業にたずさわる人の判断がかかわってきます。書き換えは、編集の力量や見識を問われる知的な作業です。ただし著作権法は、この程度の表記の変更に著作権を認めてはいません。
日本の著作権法は、保護の対象となる著作物を冒頭で次のように定義しています。 「著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」(第一章 総則、第一節 通則、第二条 定義、一) 保護されるのはあくまで作者の創作的な表現であり、誰かが書いたものの表記をあらためることは、この定義に当てはまりません。 著作権法は第二章、第一節で、著作物にあたるものをより細かく示しています。第一二条には、著作物の範囲を広めに規定した、編集著作物に関する次のような定めがあります。 「編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によって創作性を有するものは、著作物として保護する。」 この規定によって、論文集やアンソロジー、歳時記の構成といったものは、それ自体が著作物として保護されていると考えるべきでしょう。 これらに関しては、たとえ収録されている個々の作品の著作権がすべて切れていたとしても、編集に当たった人の死後50年を経ないうちは、組み合わせや並べ方をなぞることは許されません。 ただし、表記の改変が、ここでいう「素材の選択又は配列によって創作性を有するもの」に当たらないことは明らかです。
「入力してみたいけれど、適当な作品に心当たりがない」という場合は、「随筆計画2000」のページをご覧になってみてください。このページは、作品社から刊行されている「日本の名随筆」シリーズを索引代わりに、著作権の切れている随筆作品をリストアップしたものです。青空文庫に登録済み、入力中、未入力の区別が、このページで確認できます。この中から、未入力の作品を選ぶという方法もあります。ここに掲載されている作品はどれも短いものなので、入力は初めてという人でも、比較的楽に作業できるでしょう。
アンソロジー形式の短編集などには、長い作品の一部のみを抜き出した「抄録」形式で収められたものがあります。(「日本の名随筆」では、作品名が〔〕で囲まれたものが、これに当たります。)また、一般には短編集やシリーズとしてひとまとまりで扱われているものの中から、1編のみを抜き出して収められている場合もあります。(「日本の名随筆」では、作品名の後に【××の一部】【××にあり】と書かれたものが、これに当たります。)青空文庫では、部分的な登録は避け、作品本来の姿での登録を心がけています。一部分のみが登録されていると、全体が登録されたときに重複する可能性もあります。入力したい作品が上記にあてはまる場合は、全体を収めた他の本を探してください。
インターネット上では、電子化されたテキストがさまざまな場所で公開されています。これについては、「電子テキストのある場所」をご覧ください。
他のサイトで公開されている作品であっても、あなたが青空文庫のファイル形式と取り扱い規準にそったものを用意したいと望まれるのなら、原則的には、取り組んでいただいてかまいません。ただし、公開済みであることが確認できている場合は、着手前に青空文庫(reception@aozora.gr.jp)宛にその旨を告知し、作業開始への了解を求めてください。
法令の入力は、原則として行いません。
青空文庫ではかつて、『大日本帝国憲法』『日本国憲法』を入力し、他の法律に関しても、リンク登録するなどしてきました。そんな中で、2001年4月1日、総務省による「法令データ提供システム」の運用が開始されました。その時点で施行されているすべての法令が、官報への掲載から1、2か月というわずかな遅れで、高い信頼性をもって登録され、検索の機能も充実しています。ファイルの利用にも、制限は設けられていません。こうした体制が整った以上、法令データは、同システムをはじめとするいくつかの専門サイトに委ねるのが妥当でしょう。よって、「廃止されたもので、他では参照することが困難」といった特別な理由がある場合をのぞいて、青空文庫で法令を新規入力、公開することは行いません。
編者や校訂者などの権利の扱いは、微妙です。これらの作業に当たった人が底本に明記されているときは、進められるか否か、「作業着手連絡システム」からの申請の前に、reception@aozora.gr.jpに問い合わせてください。
同一作品の異なったバージョン(旧字旧仮名版、新字新仮名版、もしくは新字旧仮名版)に取り組む場合は、「作業着手連絡システム」からの申請の際、「作品データ」の「備考」欄に、どれが登録済みであり、どの形での入力を希望されるかを書き添えてください。
以上の条件を満たす入力候補作品がみつかったら、「作業着手連絡システム」の「入力受付システム」を使って、申請してください。
「作業着手連絡システム」は、同じ著者の作品を多数入力申請する際、繰り返しの記入を避けられるよう、工夫してあります。(同じ底本からなら、一度に20作品まで対応。)
それでも申請に困難を感じるほど、作品数が多い場合(40作品以上を、目安としてください)は、reception@aozora.gr.jpに対応を打診してください。
これまで、紙の冊子を器として使ってきた本の世界で、書かれたものを大切に取り扱ってきたのは、編集者をはじめとする出版にたずさわる人たちでした。 インターネットの上に、電子の〈本〉をおさめる書棚を整えようとする私たちは、彼らが育んできた価値観や美意識に学び、引き継ぐべきものは誠実に引き継いでいきたいと考えています。 彼らへの敬意は、「なにを底本にしたか」を明記することで表しましょう。 何らかの編集処理を加える際には、利用者の批判や、ファイルの信頼性を高める次の努力に期待して、作業の中味を記録として残しましょう。 あくまで著作権を尊重することで、共用への願いが、創造の基盤を脅かさないように心がけましょう。 そうした姿勢を守り、新しい場でも本を大切に扱い続ける覚悟を示しながら、私たちはもう一方で、必要とあらば捨てるべきものは大胆に捨てて、積極的な共用による実りを耕していきたいと考えています。
先人の積み上げてきた本という宝物に、ネットワークされたコンピューターの力を借りて新しい生命を吹き込む試みが、常に皆さんの共感と共にありますように。 願わくば皆さんの力こそを風として、ここに帆を揚げた試みの船が、遠く高く、青空に軌跡を描き続けますように。