鏡花は二度読むと面白い(かも)
群盲、象をなでる

2007年01月01日

 空色通信 2006年12月号

2006年12月は、77作品のファイルが公開された。ニュースとしては、「保護期間の延長問題に関するシンポジウム第一回開催」と「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準の改定」があげられる。

【主なニュース】
 保護期間の延長問題に関するシンポジウムの第一回が開催された。賛成、反対に関わらず多くの視点からの意見が聞けたのは大変によいことであったと思う。第二回はいつなのかな?
 また、青空文庫収録ファイルの取り扱い規準が改定された。より多くの人に自由に使えるようになったと思う。詳しくは、そらもようを参照。

【公開作品】
 2006年12月には、77作品のファイルが公開された。なお、作品未公開のため機能しないリンクが一部ある。

 今月の記念モノは、
 12月24日:愛知敬一「ファラデーの伝 電気学の泰斗
 12月25日:オールコット「若草物語
 12月31日:サン=テグジュペリ「あのときの王子くん
である。ついでに、12月30日には島崎藤村「破戒」が公開されている。

 さて、もっとも多くの作品が公開されたのは、蘭郁二郎で14作品(「足の裏」、「」、「息を止める男」、「腐った蜉蝣」、「幻聴」、「孤独」、「自殺」、「舌打する」、「植物人間」、「蝕眠譜」、「鉄路」、「脳波操縦士」、「古傷」、「鱗粉」)が公開された。海野十三とともに戦前SFの大家でありながら、これまで紹介があまりされてこなかった作家である。来月にも公開が予定されている(作業中一覧)。

 次に多くの作品が公開されたのは、岡本綺堂で10作品(「麻畑の一夜」、「鰻に呪われた男」、「怪獣」、「」、「経帷子の秘密」、「くろん坊」、「深見夫人の死」、「マレー俳優の死」、「雪女」、「」)。「青蛙堂鬼談」などのような怪談とは違うが、友人が語るというスタイルは同じ。

 福沢諭吉「瘠我慢の説」が公開された。「丁丑公論」としてまとめられた時に収録された作品(石河幹明「」、福沢諭吉、勝海舟、榎本武揚「書簡」、石河幹明「瘠我慢の説に対する評論について」、木村芥舟「福沢先生を憶う」)も、「瘠我慢の説」を主題名の作品として公開されている。また、福沢諭吉は、「旧藩情」と「新女大学」も公開された。

 翻訳ものとしては、大著であるワルラス「純粋経済学要論 01 上巻」が公開された。上巻だけでこのボリューム、下巻も合わせると結構な量となる。

 推理小説は、甲賀三郎が1篇(「愛の為めに」)、小酒井不木が4篇(「暗夜の格闘」、「名古屋スケッチ」、「髭の謎」、「錬金詐欺」)、公開された。

 初登録作家は、石井研堂と波多野精一。石井研堂は釣りの大家。4作品が公開(「元日の釣」、「研堂釣規」、「釣好隠居の懺悔」、「東京市騒擾中の釣」)されている。「元日の釣」を元日に楽しむのも一興。波多野精一は1篇(「時と永遠」)が公開されている。「釣り」ならやはり「佐藤垢石」だろう。1月には大量に公開される。

 「釣り」のキーワードでは、鏡花の「夜釣」(「新字旧仮名」、「旧字旧仮名」)も公開されている。他には、「南地心中」、「悪獣篇」の2篇。「悪獣篇」はストレートな怪談、「南地心中」は珍しい大阪モノ。また、長谷川時雨が鏡花の魅力を語っている「水色情緒」も公開された。

 豊島与志雄(「或る作家の厄日」、「悲しい誤解」、「牛乳と馬」、「新妻の手記」、「復讐」)と坂口安吾(「朴水の婚礼」、「わが血を追ふ人々」、「不良少年とキリスト」)が公開された。二人とも今年から公開できるようになった作家である。豊島与志雄は160作品、坂口安吾は157作品、公開された。トータルで900篇弱の作品を今年は公開しているので、約3分の1が豊島与志雄と坂口安吾だったことになる。この二人、まだまだ校正待ちの作品が多いので、来年も公開続くことであろう。

 日本の名随筆、日本随筆紀行からは、萩原朔太郎「小説家の俳句」、宮沢賢治「凾館港春夜光景」、島木赤彦「諏訪湖畔冬の生活」、堀口九万一「フランソア・コッペ訪問記」、が公開された。

 三遊亭円朝の「塩原多助旅日記」は、「塩原多助一代記」(校正待ち)の制作秘話のような裏話的小篇である。実際には取材に向う前のところまでで終わっており、取材の記録は「上野下野道の記」(未着手)にある。また、「塩原多助旅日記」「上野下野道の記」の内容に関しては、岡本綺堂が「寄席と芝居と」で詳しく解説している。

 他には、太宰治が3篇(「青森」、「音に就いて」、「純真」)、中井正一が3篇(「機構への挑戦」、「国立国会図書館」、「聴衆0の講演会」)、直木三十五が2篇(「寛永武道鑑」、「寺坂吉右衛門の逃亡」)、萩原朔太郎が1篇(「蒲原有明に帰れ」)、梶井基次郎が1篇(「詩集『戦争』」)、宮沢賢治が1篇(「茨海小学校」)、桑原隲蔵が1篇(「司馬遷の生年に関する一新説」)、久米正雄が1篇(「競漕」)、公開された。

 最後になりましたが、入力してくださった方々、校正してくださった方々に感謝いたします。また、みなさんのお気に入りを、コメント欄で紹介してもらえると、うれしいです。

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★この文章を書いた人→門田裕志★こんな時間に→2007年01月01日 04:23 ★トラックバック




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