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「著作権保護期間の延長問題を考える国民会議」第一回シンポジウムに関する雑感(1): aozora blog 発信

2006年12月04日

 空色通信 2006年11月号

2006年11月は、73作品のファイルが公開された。ニュースとしては、「「著作権保護期間の延長問題を考える国民会議」発足」があげられる。

【主なニュース】
 著作権保護期間の延長の話が進められている現状に一石を投じるが如く、「著作権保護期間の延長問題を考える国民会議」が発足した。詳しくは、ここ。賛成派、反対派ともに議論のテーブルにつこう、という試みである。
 青空文庫の活動をしているから反対、という訳ではない。しかし、ここ数年、出版物が絶版になる速度が速いなあ、と感じていた。20年前に出版されたものどころか、10年前に出版されたものですら入手出来ないことが多い。この調子では、著作権が失効する頃には、本そのものが手に入らない状況は想像に難くない。反対派の主張は「創造のサイクルを切らないことが重要」とまとめられるようだが、この意味は「自由な利用が創造を活性化する」というよりも「古い作品を手に入れる機会を増やすことで新しい創造が生み出せる」ということにポイントがあると思う。つまり「自由に」ではなく「利用できる」に重点がおかれるということ。保護期間が50年から70年になることで、さらに作品の入手は困難になる。手に入らない、利用できない、死蔵書籍が増える訳だ。2007年年頭に公開できる作家の作品を入力しようと底本を探したが、新刊書店では高村光太郎,佐藤垢石くらいしか見つからなかった。作品社の「日本の名随筆」を検索して、高村光太郎、佐藤垢石、吉田絃二郎、小金井喜美子、会津八一、の5名の作品が見つかった。現在、来年年頭に公開できる作家のうち、作業未着手な作家が、9名もある。もし、今年保護期間の延長が成立していれば、「日本の名随筆」にあった5名の作品も20年先にならないと公開できないことになる。さて、20年先にこういった作家の作品が(たとえ、随筆のような断片的なものでも)入手できるだろうか。出版のサイクルの変化にともなって、書籍の入手が困難になったとしても、インターネット上の青空文庫のような活動があるのなら、作品は手に入る。その活動を制限することになる、保護期間延長には賛成できない。

【公開作品】
 2006年11月には、73作品のファイルが公開された。なお、作品未公開のため機能しないリンクが一部ある。

 もっとも多くの作品が公開されたのは、寺田寅彦で15作品(「学問の自由」、「歳時記新註」、「書簡(1[#「1」はローマ数字1、1-13-21])」、「夏目先生の俳句と漢詩」、「箱根熱海バス紀行」、「異郷」、「歌の口調」、「宇都野さんの歌」、「御返事(石原純君へ)」、「塵埃と光」、「瀬戸内海の潮と潮流」、「戦争と気象学」、「短歌の詩形」、「凍雨と雨氷」、「PROFESSOR TAKEMATU OKADA」)が公開された。作業中作品残り4つ、随筆はほとんどカバーしただろう。

 次に多くの作品が公開されたのは、江見水蔭で7作品(「悪因縁の怨」、「怪異黒姫おろし」、「壁の眼の怪」、「怪異暗闇祭」、「死剣と生縄」、「丹那山の怪」、「月世界跋渉記」)。江見水蔭は初登録。硯友社で活躍した作家も現在ではあまり顧みられていない。硯友社については、「硯友社の沿革」を参照。

 同じ硯友社の出身で、現在でも記憶されている(出版が続いている?)のが泉鏡花。今月は、代表的な戯曲が2作品(「天守物語」、「海神別荘」)、公開された。

 豊島与志雄、野上豊一郎、斎藤茂吉がそれぞれ、5篇公開された。豊島与志雄は昭和24年頃の小説(「憑きもの」、「一つの愛情」、「程よい人」、「失われた半身」、「男ぎらい」)、野上豊一郎は紀行文とそのはしがき(「西洋見学「はしがき」」、「「草衣集」はしがき」、「桂離宮」、「奈良二題」)、そして「能の話」の一部(「演出」)、斎藤茂吉は随筆5篇(「雷談義」、「三年」、「」、「最上川」、「露伴先生」)、である。

 「日本の名随筆」からは、「14夢」から萩原朔太郎「」、「48香」から大手拓次「「香水の表情」に就いて 」、「58月」から小島烏水「霧の不二、月の不二」、北原白秋「お月さまいくつ」、上田敏「」、徳富蘆花「花月の夜」「良夜」、川端茅舎「夏の月」、与謝野晶子「月二夜」、「75商」から織田作之助「大阪の憂鬱」、内田魯庵「青年実業家」、「87能」から野上豊一郎「演出」、「別25俳句」から森鴎外「俳句と云ふもの」、が公開されている。

 SFとは少し違う未来小説4篇(江見水蔭「月世界跋渉記」、幸田露伴「ねじくり博士」、直木三十五「ロボットとベッドの重量」、木村小舟「太陽系統の滅亡」)が公開された。

 推理小説(探偵小説?)は、大阪圭吉が2篇(「寒の夜晴れ」、「三の字旅行会」)、酒井嘉七が1篇(「京鹿子娘道成寺」)、西尾正が1篇(「放浪作家の冒険」)、公開された。

 日本SFの黎明期に活躍した蘭郁二郎(作業中リスト)の小説が12月には公開される。探偵小説として、発表されたものも多い。

 他には、楠山正雄が4作品(「瓜子姫子」、「姨捨山」、「人馬」、「山姥の話」)、林芙美子が3作品(「風琴と魚の町」、「魚の序文」、「清貧の書」)、坂口安吾が3作品(「裏切り」、「桂馬の幻想」、「花咲ける石」)、倉田百三が2作品(「出家とその弟子」、「俊寛」)、河合栄治郎が1作品(「二・二六事件に就て」)、森田草平が1作品(「四十八人目」)、土井晩翠が1作品(「晩翠放談「自序」」)、公開された。

 最後になりましたが、入力してくださった方々、校正してくださった方々に感謝いたします。また、みなさんのお気に入りを、コメント欄で紹介してもらえると、うれしいです。

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★この文章を書いた人→門田裕志★こんな時間に→2006年12月04日 03:37 ★トラックバック




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