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つぎの星は、のんだくれのすまいだった。ほんのちょっとよっただけなのに、王子くんは、ずいぶん気もちがおちこんでしまった。
「ここでなにしてるの?」王子くんは、のんだくれにいった。その子が見ると、その男は、からのビンひとそろい、なかみのはいったビンひとそろいをまえにして、だんまりすわっていた。
「のんでんだ。」と、のんだくれは、しょんぼりとこたえた。
「なんで、のむの?」と王子くんはたずねた。
「わすれたいんだ。」と、のんだくれはこたえた。
「なにをわすれたいの?」と、王子くんは気のどくになってきて、さらにきいた。
「はずかしいのをわすれたい。」と、のんだくれはうつむきながら、うちあけた。
「なにがはずかしいの?」と、王子くんはたすけになりたくて、たずねてみた。
「のむのがはずかしい!」のんだくれは、そういったきり、とうとうだんまりをきめこんだ。
どうしていいかわからず、王子くんは、そこをあとにした。
おとなのひとって、やっぱりめちゃくちゃおかしい、とその子は心のなかで思いつつ、たびはつづく。

ふたつめの星は、みえっぱりのすまいだった。
「ふふん! ファンのおでましか!」王子くんが見えるなり、みえっぱりはとおくから大ごえをあげた。
というのも、みえっぱりにかかれば、だれもかれもみんなファンなんだ。
「こんにちは。」と王子くんはいった。「へんなぼうしだね。」
「あいさつできる。」と、みえっぱりはいう。「はくしゅされたら、これであいさつする。あいにく、ここをとおりすぎるひとなんていないわけだが。」
「うん?」王子くんは、なんのことかわからなかった。
「りょう手で、ぱちぱちとやってみな。」と、みえっぱりがおしえるみたいにいった。
王子くんは、りょう手でぱちぱちとやった。みえっぱりは、ぼうしをちょっともち上げて、そっとあいさつをした。
「王さまのところよりもたのしいな。」と王子くんは心のなかでおもった。だからもういちど、りょう手でぽちぱちとやった。みえっぱりも、ぼうしをちょっともち上げて、もういちどあいさつをした。
五分つづけてみたけど、おなじことばかりなので、王子くんはこのあそびにもあきてしまった。
「じゃあ、そのぼうしを下ろすには、どうしたらいいの?」と、その子はきいた。
でも、みえっぱりはきいてなかった。みえっぱりは、ほめことばにしか、ぜったい耳をかさない。
「おまえは、おれさまを心のそこから、たたえているか?」と、その男は王子くんにきいた。
「たたえるって、どういうこと?」
「たたえるっていうのは、このおれさまが、この星でいちばんかっこよくて、いちばんおしゃれで、いちばん金もちで、いちばんかしこいんだって、みとめることだ。」
「でも、星にはきみしかいないよ!」
「おねがいだ、とにかくおれさまをたたえてくれ!」
「たたえるよ。」といって、王子くんは、かたをちょっとあげた。「でも、きみ、そんなことのどこがおもしろいの?」
そして王子くんは、そこをあとにした。
おとなのひとって、やっぱりそうとうおかしいよ、とだけ、その子は心のなかで思いつつ、たびはつづく。
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ということで一応貼ってみる。
7/23に行われた地球環境ジュニア国際会議のブログにでています。
会議では、
日本の文化使節といえるのは、やはりドラえもんとキティちゃんですね。世界を廻ってほしいです。
マグネット
http://www.magnet.ne.jp/
気温が高くても風が強いと心地よく過ごせるという原理を使った涼しい服、空調服を試着してみました。
エコ・ウェア!
というか
モバイル扇風機つきジャンパー
というようなものです。
10センチほどの送風ファンを脇腹のうしろよりに2つつけて、電池パックを内ポケットに入れて使う。乾電池4個のそれが少々重いような気もするけど、ズボンのポケットにでもいれればきにならない。
ファンの音(ブ〜ン)が静かな部屋では気になりますが、家の外だと問題なし。でもコンピュ
ータ用の静穏高性能ファンに取り替えたいかも。
そのファンが空気を吸い込んで、首や手の辺りから抜けていくので、ジャンパーは風を含んでパンパンにふくらみます。ちょっと腕や肩がムキムキな感じ(笑)
これなら夏に外に出ても熱中症にならないかなあ。帽子は必要かも。種類が増えているのでどれを買うか悩みますが、リュックを背負った場合にはスペーサーが必要らしい。空気が通らないので。それでうまくいくなら登山も汗だらけにならずに快適に!
これで日本だけでなく東南アジアや世界のクーラー使いすぎを撲滅できるかもしれない。
しかしUSBケーブルって? 着てる人をPCからコントロール?
空調ベッドは売り切れか_| ̄|○
株式会社空調服
http://www.9229.co.jp/
ニュースなど(IT戦士に大人気!?)
SafetyJapan/日経BP社
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/special/05/
ITmedia News:「空調ベッド」でさらば寝苦しい夜
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0606/19/news014.html
ITmedia News:IT戦士の夏も安心! 空調服がUSBに対応
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0606/19/news015.html
ITmediaニュース:「e-ウォームビズ」始動——空調服が冬服に参入
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0512/22/news041.html
ITmediaニュース:米軍では「水冷式」空調服——イラクで導入済み
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0512/22/news089.html
ITmediaニュース:これもクールビズ、「空調服」が世界進出
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0506/16/news060.html
ITmediaニュース:「株式会社空調服」誕生
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0502/04/news044.html
ITmediaニュース:真夏に長袖!なのに裸より涼しい「空調服」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0407/17/news001.html
レポートなど
共和工業:空調服で作業環境を改善させコストダウンに繋げる
http://www.kyowakg.com/cd/kf2.html
空調服を普段着にする。
http://fudangi.jakou.com/
ゴア・ヴァービンスキー監督『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(2003)
ゴア・ヴァービンスキー監督『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』(2006)
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最初の船長はツボにハマりましたが、今度はタコにクワれました。(´・ω・)カワイソス
でもあのタコは足が8足以上あるような気がしたんだけど、気のせい? まあ怪物なのでどうでもいいか。
ああ、書き方を忘れてしまった。続きに期待しながらとりあえずタコでもハリます。
たぶん、私は十三人目……
ネズミーランドのアトラクションなので、まあそんなもんだろうと最初のをみたのですが、大当たりでした。いや、ジョニーデップが出ていたのでふらふらと入ったけど、思った以上の海賊ぶりに感動。。。というか萌えってやつですか。このシリーズもっと見たいと思いましたわ。見終わった後、船長しか覚えてなくて、ストーリや他の役の人も全然忘れていました。悪いということはないけどかすむっていうか(そっちは記憶障害なのかな) 今回みたら、あれれ見たことある人が出てると思った(^^;;
それで船長はキースリチャーズさんを参考にしたということでしたが、よく考えたら昔ジャンプに載っていた「コブラ」ってのにそっくりでしたな。あちらは宇宙海賊でしたか。日本のマンガがネズミーで映画化されているレイ。
(次回に続くかも...)
2006年7月23日の読売新聞一面に、「著作権 映画以外も70年/関係団体一致 「死後50年」延長へ」と題した記事が載りました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20060723i101.htm
これまでも自分のページには、延長反対のロゴを貼ってきましたが、関係団体の協議で70年延長が決まったといった書きっぷりのこの記事を読んでいるうちに、「もっとたくさんの人と、声をそろえて読売新聞に教えてやらなくては」との思いがつのりました。
http://hpcgi1.nifty.com/hongming/komorebi/wforum.cgi?no=1053&mode=allread
「著作権の保護期間を、これまでの作者の死後50年から70年に延ばすのは反対だ!」
この立場を共有できる皆さんに、延長反対ロゴの貼り込みをお願いします。
ウェッブにロゴをちりばめて、読売新聞と「関係団体」に、私たちの意志を示そうじゃありませんか。
【ロゴの貼り方】
以下を、ロゴを掲載するページのソースの適当な位置に、貼り込んでください。
<a href="http://aozora.gr.jp/soramoyou/soramoyouindex.html#000174"><img src="http://mirror.aozora.gr.jp/images/noextension.png" width="165" height="50" border="0" alt="著作権保護期間の70年延長に反対"></a><br>
小さめのロゴが良ければ、こちらを貼ってください。
<a href="http://aozora.gr.jp/soramoyou/soramoyouindex.html#000174"><img src="http://mirror.aozora.gr.jp/images/noextension_small.png" width="110" height="33" border="0" alt="著作権保護期間の70年延長に反対"></a><br>
2006年1月1日に掲載した、青空文庫の「そらもよう」にリンクしてあります。
「http://aozora.gr.jp/soramoyou/soramoyouindex.html#000174」を、目指すページのURLに変更すれば、リンク先がかわります。
「最も簡単に」と、上記ソースを示しました。
もちろん、ご自分で置き方を決めていただいて、かまいません。

画像ファイル名:noextension.png
サイズ:165*50
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画像ファイル名:noextension_small.png
サイズ:110*33
貼り方が良くわからなければ、コメントをお願いします。
※著作権保護期間延長反対ロゴは、うにさんが作成され、以下のページにおいておられるものです。
http://eunheui.cocolog-nifty.com/blog/2004/12/post_2.html
(ただサイズを変えただけの)縮小は、富田が行いました。

その子は、しょうわくせい325、326、327、328、329や330のあたりまでやってきた。知らないこと、やるべきことを見つけに、とりあえずよってみることにした。
さいしょのところは、王さまのすまいだった。王さまは、まっ赤なおりものとアーミンの白い毛がわをまとって、あっさりながらもでんとしたイスにこしかけていた。
「なんと! けらいだ。」と、王子くんを見るなり王さまは大ごえをあげた。
王子くんはふしぎにおもった。
「どうして、ぼくのことをそうおもうんだろう、はじめてあったのに!」
王さまにかかれば、せかいはとてもあっさりしたものになる。だれもかれもみんな、けらい。その子は知らなかったんだ。
「ちこうよれ、よう見たい。」王さまは、やっとだれかに王さまらしくできると、うれしくてたまらなかった。
王子くんは、どこかにすわろうと、まわりを見た。でも、星は大きな毛がわのすそで、どこもいっぱいだった。その子はしかたなく立ちっぱなし、しかもへとへとだったから、あくびが出た。
「王のまえであくびとは、さほうがなっとらん。」と王さまはいった。「だめであるぞ。」
「がまんなんてできないよ。」と王子くんはめいわくそうにへんじをした。「長たびで、ねてないんだ。」
「ならば、あくびをせよ。ひとのあくびを見るのも、ずいぶんごぶさたであるな、あくびとはこれはそそられる。さあ! またあくびせよ、いうことをきけ。」
「そんなせまられても……むりだよ……」と王子くんは、かおをまっ赤にした。
「むむむ! では……こうだ、あるときはあくびをせよ、またあるときは……」
王さまはちょっとつまって、おこまりのごようす。
なぜなら王さまは、なんでもじぶんのおもいどおりにしたくて、そこからはずれるものは、ゆるせなかった。いわゆる〈ぜったいの王さま〉ってやつ。でも根はやさしかったので、ものわかりのいいことしか、いいつけなかった。
王さまには口ぐせがある。「いいつけるにしても、しょうぐんに海鳥になれといって、しょうぐんがいうことをきかなかったら、それはしょうぐんのせいではなく、こちらがわるい。」
「すわっていい?」と、王子くんは気まずそうにいった。
「すわるであるぞ。」王さまは毛がわのすそをおごそかにひいて、いいつけた。
でも、王子くんにはよくわからないことがあった。この星はちーっちゃい。王さまはいったい、なにをおさめてるんだろうか。
「へいか……すいませんが、しつもんが……」
「しつもんをせよ。」と王さまはあわてていった。
「へいかは、なにをおさめてるんですか?」
「すべてである。」と王さまはあたりまえのようにこたえた。
「すべて?」
王さまはそっとゆびを出して、じぶんの星と、ほかのわくせいとか星とか、みんなをさした。
「それが、すべて?」と王子くんはいった。
「それがすべてである……」と王さまはこたえた。
なぜなら〈ぜったいの王さま〉であるだけでなく、〈うちゅうの王さま〉でもあったからだ。
「なら、星はみんな、いうとおりになるの?」
「むろん。」と王さまはいった。「たちまち、いうとおりになる。それをやぶるものは、ゆるさん。」
あまりにすごい力なので、王子くんはびっくりした。じぶんにもしそれだけの力があれば、四四回といわず、七二回、いや百回でも、いやいや二百回でも夕ぐれがたった一日のあいだに見られるんじゃないか、しかもイスもうごかさずに! と、かんがえたとき、ちょっとせつなくなった。そういえば、じぶんのちいさな星をすててきたんだって。だから、おもいきって王さまにおねがいをしてみた。
「夕ぐれが見たいんです……どうかおねがいします……夕ぐれろって、いってください……」
「もし、しょうぐんに花から花へチョウチョみたいにとべ、であるとか、かなしい話を書け、であるとか、海鳥になれ、であるとかいいつけて、しょうぐんが、いわれたことをできなかったとしよう。なら、そいつか、この王か、どちらがまちがってると、そちはおもう?」
「王さまのほうです。」と王子くんはきっぱりいった。
「そのとおり。それぞれには、それぞれのできることをまかせねばならぬ。ものごとがわかって、はじめて力がある。もし、こくみんに海へとびこめといいつけようものなら、国がひっくりかえる。そのようにせよ、といってもいいのは、そもそも、ものごとをわきまえて、いいつけるからである。」
「じゃあ、ぼくの夕ぐれは?」と王子くんはせまった。なぜなら王子くん、いちどきいたことは、ぜったいにわすれない。
「そちの夕ぐれなら、見られるぞ。いいつけよう。だが、まとう。うまくおさめるためにも、いいころあいになるまでは。」
「それはいつ?」と王子くんはたずねる。
「むむむ!」と王さまはいって、ぶあつい〈こよみ〉をしらべた。「むむむ! そうだな……だい……たい……ごご7時40くらいである! さすれば、いうとおりになるのがわかるだろう。」
王子くんはあくびをした。夕ぐれにあえなくて、ざんねんだった。それに、ちょっともううんざりだった。
「ここですることは、もうないから。」と王子くんは王さまにいった。「そろそろ行くよ!」
「行ってはならん。」と王さまはいった。けらいができて、それだけうれしかったんだ。「行ってはならん、そちを、だいじんにしてやるぞ!」
「それで、なにをするの?」
「む……ひとをさばくであるぞ!」
「でも、さばくにしても、ひとがいないよ!」
「それはわからん。まだこの王国をぐるりとまわってみたことがない。年をとったし、大きな馬車をおくばしょもない。あるいてまわるのは、くたびれるんでな。」
「ふうん! でもぼくはもう見たよ。」と、王子くんはかがんで、もういちど、ちらっと星のむこうがわを見た。「あっちには、ひとっこひとりいない……」
「なら、じぶんをさばくである。」と王さまはこたえた。「もっとむずかしいぞ。じぶんをさばくほうが、ひとをさばくよりも、はるかにむずかしい。うまくじぶんをさばくことができたなら、それは、しょうしんしょうめい、けんじゃのあかしだ。」
すると王子くんはいった。「ぼく、どこにいたって、じぶんをさばけます。ここにすむひつようはありません。」
「むむむ! たしか、この星のどこかに、よぼよぼのネズミがいっぴきおる。夜、もの音がするからな。そのよぼよぼのネズミをさばけばよい。ときどき、死けいにするんである。そうすれば、そのいのちは、そちのさばきしだいである。だが、いつもゆるしてやることだ、だいじにせねば。いっぴきしかおらんのだ。」
また王子くんはへんじをする。「ぼく、死けいにするのきらいだし、もうさっさと行きたいんです。」
「ならん。」と王さまはいう。
もう、王子くんはいつでも行けたんだけど、年よりの王さまをしょんぼりさせたくなかったから。
「もし、へいかが、いうとおりになるのをおのぞみなら、ものわかりのいいことを、いいつけられるはずです。いいつける、ほら、一分いないにしゅっぱつせよ、とか。ぼくには、もう、いいころあいなんだとおもいます……」
王さまはなにもいわなかった。王子くんはとりあえず、どうしようかとおもったけど、ためいきをついて、ついに星をあとにした……
「そちを、ほかの星へつかわせるぞ!」そのとき、王さまはあわてて、こういった。
まったくもってえらそうないいかただった。
大人のひとって、そうとうかわってるな、と王子くんは心のなかでおもいつつ、たびはつづく。
萩野正昭さんは、若い頃、映画を撮っていた。
90年代のはじめに出会ったときは、もうボイジャーの社長で、以来、電子出版が私たちの接点になった。
1997年に青空文庫がはじまってしばらくは、ボイジャーのサーバーに間借りした。広告でも世話になってきたし、azur もつくってもらった。
だから、萩野さんから声がかかれば、出かけていって話す。
今年の東京国際ブックフェアは、2日目の7月7日に、ボイジャーのブースで話した。
青空文庫の誕生日と称している日だ。
その際の映像を、海の日絡みの連休中に、萩野さんがまとめてくれた。
言い間違えが多くて恥ずかしいが、編集が冴えている。
アメリカを中心に、「全書籍電子化計画」などとオーバーに表現したくなる大きなプロジェクトが、いくつも動き出している。
そんな中で、青空文庫にはまだ役割が残されているのか、考え、話した。
その映像が、ボイジャーのページにアップされた。
撮影には、三郷誠一さん、大塚浩平さんのご協力を得た。
星から出るのに、その子はわたり鳥をつかったんだとおもう。出る日のあさ、じぶんの星のかたづけをした。火のついた火山のススを、ていねいにはらった。そこにはふたつ火のついた火山があって、あさごはんをあたためるのにちょうどよかった。それと火のきえた火山もひとつあったんだけど、その子がいうには「まんがいち!」のために、その火のきえた火山もおなじようにススをはらった。しっかりススをはらえば、火山の火も、どかんとならずに、ちろちろとながつづきする。どかんといっても、えんとつから火が出たくらいの火なんだけど。もちろん、ぼくらのせかいでは、ぼくらはあんまりちっぽけなので、火山のススはらいなんてできない。だから、ぼくらにとって火山ってのはずいぶんやっかいなことをする。

それから、この王子くんはちょっとさみしそうに、バオバブのめをひっこぬいた。これがさいご、もうぜったいにかえってこないんだ、って。こういう、いつもやってたきまりごとが、このあさには、ずっとずっといとおしくおもえた。さいごにもういちどだけ、花に水をやって、ガラスのおおいをかぶせようとしたとき、その子はふいに泣きたくなってきた。
「さよなら。」って、その子は花にいった。
でも花はなにもかえさなかった。
「さよなら。」って、もういちどいった。
花はえへんとやったけど、びょうきのせいではなかった。
「あたし、バカね。」と、なんとか花がいった。「ゆるしてね。おしあわせに。」
つっかかってこなかったので、その子はびっくりした。ガラスのおおいをもったまま、おろおろと、そのばに立ちつくした。どうしておだやかでやさしいのか、わからなかった。
「ううん、すきなの。」と花はいった。「きみがそのことわかんないのは、あたしのせい。どうでもいいか。でも、きみもあたしとおなじで、バカ。おしあわせに。……おおいはそのままにしといて。もう、それだけでいい。」
「でも風が……」
「そんなにひどいびょうきじゃないの……夜、ひんやりした空気にあたれば、よくなるとおもう。あたし、花だから。」
「でも虫は……」
「毛虫の一ぴきや二ひき、がまんしなくちゃ。チョウチョとなかよくなるんだもん。すごくきれいなんだってね。じゃないと、ここにはだれも来ないし。とおくだしね、きみは。大きな虫でもこわくない。あたしには、ツメがあるから。」
花は、むじゃきによっつのトゲを見せた。それからこういった。
「そんなぐずぐずしないで、いらいらしちゃう。行くってきめたんなら、ほら!」
なぜなら、花はじぶんの泣きがおを見られなくなかったんだ。花ってよわみを見せたくないものだから……。
夏休みに、歌舞伎座に行って、鏡花の芝居を見てきた。ちょっと、感想を残しておく。
歌舞伎座の七月公演は、鏡花尽くし。「夜叉ヶ池」「海神別荘」「山吹」「天守物語」の4篇を上演している。都合で、昼の部の「夜叉ヶ池」「海神別荘」のみを見る事が出来た。
結論から言って、素晴らしい出来であった。私は、歌舞伎座の役者さんをほとんど知らず、またスタッフについても、当日パンフレットを買ってから、「海神別荘」の美術が天野喜孝さんであることを知ったくらい、不勉強であった。ただ、「夜叉ヶ池」「海神別荘」ともに青空文庫のファイルの入力に携わったので、文字のレベルで作品に関してはよく知っているという嫌な観客の一人であろう。
まず、「夜叉ヶ池」について。どの役者さんも素晴らしい演技であった。光ったのは山沢学円の役者さんと姥役の役者さん、そして百合/白雪の二役をされた役者さんであった。鏡花のセリフは、長くて独特なので、大変であったと思う。しかし、どの役者さんも、鏡花のセリフの味を殺すことなく、演じておられた。二役という演出のためか、最後のシーンが少し変ってしまっていたことが少し不満であるくらいであった。この戯曲は、いろいろな時代が語られるのだが、通して見ると、学円が暮れ六つの鐘に訪れてから丑満の鐘までに起こったことが現代での中心の時間軸となっている。このことがはっきりと示せなかったことが残念なのである。ただ、妖怪総出の場面などは、大変によい出来であったと思う。
そして、「海神別荘」。こちらは演技、演出、全て素晴らしい出来であった。天野喜孝氏の美術を最大限生かすために、変更された細かい設定なども全てうまく機能していた(侍女の服装が洋装から和装のようなものに変更されていること、など)。そして、公子役の方と美女役の方の演技は、何も文句を言うところがない。公子役の方の演技は、鏡花のセリフに込められた感情を、その声で全て表現できていた。そして、美女のセリフは、かなり短い、途切れ途切れのものが多いのだが、そのセリフを以て、美女役の役者さんは、美女の持つ情念を見事に表現していた。勝手なことを言わせてもらえれば、鏡花が見て満足する出来であったと思う。この芝居、鏡花の存命中には上演されなかったはずだ(点のない大正では、存命中に上演されていますが)。鏡花の感想を聞いてみたい、そんな出来であった。
二つの芝居を見て、強く感じたことがある。鏡花作品は、聴いて楽しむものだということだ。鏡花のセリフを聴くことが、これほど素晴らしいとは思わなかった。また、そのレベルの芝居をやってくださったということでもある。こんな素晴らしい芝居を上演してくれた歌舞伎座の皆さん、役者の皆さんに感謝したい。
「鏡花読み」という言葉がある。電子上で保存された鏡花作品は、いつか誰かの声で語られた「聴く作品」になってくれると信じている。また、そんな素晴らしい鏡花を聴くためにも、少しでも多くの鏡花作品を電子化しておきたいと思う。

東京国際ブックフェアーの開催に合わせて、青空文庫の著作権切れ作品を全て収めた CD-ROM を、ボイジャーがつくってくれています。
2004年4月の「蔵書3000」、2005年7月の「蔵書4670」に続いて、今年は「蔵書5000」ができあがりました。
青空文庫は、2002年5月から、ファイルの作り方を変えました。
テキスト版の注記ルールを細かく定め、用意したプログラムで、テキスト版から XHTML 版を自動的に作る手順を決めました。
それまでの流儀で作りためてきた、およそ2000作品分に関しても、テキスト版の見直しと XHTML 版の作り直しを進めていくことにしました。
まだ完全ではありませんが、この作業が、9割方片づいています。
「蔵書5000」の収録作品数は、5350。昨年の「4670」から680作品増えた勘定ですが、水面下で進めてきた形式変更作業の成果も、ここには盛り込まれています。
旧形式ファイルの作り替えは、青空文庫形式に対応した azur をはじめとする各種の縦組み、頁めくり形式の表示ソフトで、初期に公開された作品も良い状態で読んでもらいたいと思って進めてきたものです。
「蔵書5000」には、青空文庫のために開発された azur のお試し版と、T-Time の機能限定版が収められています。
この「蔵書5000」の通信販売が、始まりました。
定価500円と、価格をおさえて夏の句読点を打ってくれたボイジャーの皆さんに、感謝します。
形式変更を担ってくれた、点検スタッフの小林繁雄さんにも、あらためてお礼を申し上げます。
ほどなくして、その花のことがどんどんわかっていった。それまでも、王子くんの星には、とてもつつましい花があった。花びらがひとまわりするだけの、ちっともばしょをとらない花だ。あさ、気がつくと草のなかから生えていて、夜にはなくなっている。でも、あの子のいった花はそれじゃなくて、ある日、どこからかタネがはこばれてきて、めを出したんだ。王子くんはまぢかで、そのちいさなめを見つめた。今まで見てきた花のめとは、ぜんぜんちがっていた。またべつのバオバブかもしれなかった。でも、くきはすぐのびるのをやめて、花になるじゅんびをはじめた。王子くんは、大きなつぼみがつくのを目のあたりにして、花がひらくときはどんなにすごいんだろうと、わくわくした。けれど、その花はみどり色のへやに入ったまま、なかなかおめかしをやめなかった。どんな色がいいか、じっくりとえらび、ちまちまとふくをきて、花びらをひとつひとつととのえていく。ひなげしみたいに、しわくちゃのまま出たくなかった。きらきらとかがやくくらい、きれいになるまで、花をひらきたくなかった。そうなんだ、その花はとってもおしゃれさんなんだ! だから、かくれたまま、なん日もなん日も、みじたくをつづけた。ようやく、あるあさ、ちょうどお日さまがのぼるころ、ぱっと花がひらいた。
あまりに気をくばりすぎたからか、その花はあくびをした。
「ふわあ。目がさめたばかりなの……ごめんなさいね……まだ、かみがくしゃくしゃ……」
そのとき、王子くんの口から、おもわずことばがついてでた。
「き、きれいだ!」

「そうね。」と花はなにげなくいった。「お日さまといっしょにさいたもの……」
この花、あまりつつましくもないけど、心がゆさぶられる……と王子くんはおもった。
そこへすぐ、花のことば。「あさのおしょくじのじかんじゃなくて。このままあたしはほうっておかれるの?」
王子くんは、もうしわけなくなって、つめたい水のはいったじょうろをとってきて、花に水をやった。

こんなちょうしで、ちょっとおこりやすく、みえっぱりだったから、その花はすぐに、その子をこまらせるようになった。たとえばある日、花はこの王子くんに、よっつのトゲのことを、こういった。
「ほら、トラが、ツメをたててくるかもしれないじゃない。」
「トラなんて、ぼくの星にはいないよ。」と王子くんはいいかえした。「それに、トラは草なんて食べない。」
「あたし、草じゃないんだけど。」と花はなにげなくいった。
「ごめんなさい……」
「トラなんてこわくないの、ただ、風にあたるのは大っきらい。ついたてでもないのかしら?」
『風にあたるのがきらいって……やれやれ、こまった花だ。』と王子くんはおもった。『この花、とってもきむずかしいなあ……』
「夜には、ガラスのおおいをかけてちょうだい。あなたのおうち、すっごくさむい。ばしょがわるいのね。あたしのもといたところは……」
と、ここで花は話をやめた。花はタネのかたちでやってきた。ほかのところなんて、わかるわけなかった。ついむじゃきにウソをいってしまいそうになったので、はずかしくなったけど、花はえへんえへんとせきをして、王子くんのせいにしようとした。
「ついたては……?」
「とりにいこうとしたら、きみがしゃべったんじゃないか!」
また花は、わざとらしくえへんとやった。その子におしつけるのは、うしろめたかったけど。
これだから、王子くんは、まっすぐ花をあいしていたけど、すぐしんじられなくなった。たいしたことのないことばも、ちゃんとうけとめたから、すごくつらくなっていった。
「きいちゃいけなかった。」って、あるとき、その子はぼくにいった。「花はきくものじゃなくて、ながめて、においをかぐものだったんだ。ぼくの花は、ぼくの星を、いいにおいにした。でも、それをたのしめばいいって、わかんなかった。ツメのはなしにしても、ひどくいらいらしたけど、気もちをわかってあげなくちゃいけなかったんだ。」
まだまだはなしはつづいた。
「そのときは、わかんなかった! ことばよりも、してくれたことを、見なくちゃいけなかった。あの子は、いいにおいをさせて、ぼくをはれやかにしてくれた。ぼくはぜったいに、にげちゃいけなかった! へたなけいさんのうらにも、やさしさがあったのに。あの花は、あまのじゃくなだけなんだ! でもぼくはわかすぎたから、あいすることってなんなのか、わかんなかった。」