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——公開は校正がすんでから。誰かが読んでくれなければ、入力ファイルはいつまでも活用できません。校正に、あなたの力を!——
こうした呼びかけに答えて、校正への取り組みを検討してくれた人から、「具体的には、どう進めればよいのか?」とたずねられました。
「マニュアルを読んだけれど、入力向きと感じた。校正については、具体的なイメージがつかめない」というのです。
書きかけた返答を膨らませ、「青空文庫校正入門」として、以下をまとめました。
読んでわかりにくかったところ、校正してみて疑問に思った点を、ここにどんどん書き込んでください。
下に青で表示された「続きを読む "【校正】青空文庫校正入門"」をクリックすると、新しく開いたウインドウの下に、「コメントする」と題した入力スペースが現れます。
「コメントする」の「名前」のところには、本名を書く必要はありません。
「名前、アドレスを登録しますか?」は、「No」のままでかまいません。
「メールアドレス」「URL」は、入力しなくてもかまいません。
「Comment」に、ご意見を書き込んでください。エディターなどであらかじめまとめたものを、コピー&ペーストする形もとれます。
「Preview」をクリックすると、書き込んだ内容を確認できます。直すべき点がみつかれば、「Comment」欄で修正します。なおした状態で、もう一度読みたいときは、再度「Preview」をクリック。「よし、これで書き込もう」と決めたら、「Post(投稿)」をクリックしてください。
ベテランの皆さんには、どしどしアドバイスをお願いします。
この場所を、校正促進の手がかりとして使って行きましょう。
▼基本的な手続き
青空文庫の作業にのぞむ皆さんには、「工作員を志願される皆さんへ」に示された、事前の手続きをお願いしています。
校正してくださる方も、先ずここを読んで、示された手順を踏んでください。(入力で、すでに工作員番号を得ておられる方は、あらためての手続きは必要ありません。)
▼校正の申し込み
上記文章からたどれる、「作業着手連絡システム」から、取り組む作品を選んでください。
作品選びについて相談したいことがあれば、reception@aozora.gr.jpにメールしてください。
「工作員を志願される皆さんへ」で説明している、「同意します。」メールが届かない内は、申し込みを受理できません。
必ず「同意します。」メールを送ってから、申し込んでください。
▼校正の実際1 底本と校正用ファイルの準備
校正は、入力時に参照した底本と、入力されたファイルとを対照して、進めます。
よって作業には、底本、もしくは底本のコピーと、入力ファイルが必要になります。
底本は、お近くの図書館から借りるなどしてください。
底本が自分で確保できないときは、「作業着手連絡システム」から校正を申し込む際に、底本コピーの送付を申し入れて下さい。
「校正受付システム」で、書名が青く表示されている底本は、reception@aozora.gr.jpで確保できています。
これらに関しては、コピーの送付が容易です。
校正用のファイルは、「作業着手連絡システム」からの申し込み手続きが完了した段階で、送ります。
送られてきたファイルは、zip形式で圧縮されています。
【紙校正】
校正は伝統的に、ゲラと呼ばれる試し刷りと、原稿とを対照する形で、行われてきました。
この流儀で作業する際は、まず送られてきたファイルをプリントアウトして、ゲラに相当するものを作ります。
Wordや一太郎などのワープロソフトには、縦組みの機能が備わっています。
プリントアウトには、縦組みをすすめます。(横組みでも、作業は可能です。)
使用するフォントには、底本の書体に似ているというメリットのある、明朝系のものを選んでください。(もしあなたが秀英明朝体シリーズのフォントをもっているなら、プリントアウトにはこれを利用することを、すすめます。秀英明朝体を利用することで、後述する「包摂」に関する問題の内、気にしなくて良いものを視野からはずして作業することが可能です。シリーズの一つである秀英太明朝は、かつて、エキスパンドブックやT-Timeと呼ばれるソフトに、プリントアウトにも利用できる形で同梱されていました。古くからこうしたソフトを利用してきた人なら、フォント選択メニューから「秀英太明朝0208」を選べる可能性があります。また、古いエキスパンドブックやT-Time関連のCD-ROMなどから、秀英太明朝をインストールできるかもしれません。ただし、残念ながら現在では、プリントアウトに利用できる形では、秀英明朝体は提供されていません。)
プリントアウトが自分で用意しにくい場合は、「校正受付システム」からの申し込み時に、プリントアウトの送付を申し入れて下さい。
校正作業に取り組むに当たっては、あらかじめ「工作員作業マニュアル」に目を通して下さい。
校正作業の進め方の詳細は、「工作員作業マニュアル」の「校正」
aozora blogに掲載された、「ヒラ工作員の日常〜校正編〜」
「源氏物語」校正プロジェクトのために用意された「校正の手引き」などを参考にして下さい。
【電子校正】
プリントアウトと底本(コピー)を照合する伝統的な進め方に加えて、モニターに表示した校正用ファイルと、底本(コピー)を照合する、「電子校正」も可能です。
電子校正で画面に校正用ファイルを表示させる際は、T-Timeを用いることをすすめます。(必須ではありません。)
T-Timeの最新版は、ここからダウンロードできます。
校正作業に利用する限りでは、ライセンス料の支払いは必要ありません。
T-Timeは、テキスト表示ソフトとしてすぐれているのに加えて、画面表示用に限定された形ながら、同梱された秀英太明朝が利用できるという点でも、強みを持っています。(T-Timeの本文フォントが、当初の設定である、自動明朝体から変更されていなければ、秀英太明朝で表示されています。)
無料で使っている状態でも、秀英太明朝の利用は可能です。
紙校正で紹介した文書には、電子校正を行う際も、目を通してください。
電子校正の詳細は、「デジタル校正の覚え書き【旧版】」を参照してください。
※校正に秀英明朝をすすめる理由。
青空文庫の校正で先ず突き当たるのが、プリントアウトや画面上の文字と、底本の文字の微妙な字体差です。
わずかな差があるとき、これを違う字とみて直すべきなのか、同じ字とみて見逃すべきなのか、迷いが生じます。
青空文庫が従うと決めている文字コード(「JIS X 0208」)の決まりでは、しんにょうの点が一つか二つか、くさかんむりの間が切れているかつながっているかといった点は、文字を区別するポイントとはされません。
つまり、「底本ではしんにゅうの点が二つだけれど、プリントアウトや画面では一つ」であるとか、「底本ではくさかんむりの間が切れているけれど、プリントアウトや画面ではつながっている」といったケースでは、文字を訂正する必要はないのです。
こうした事情を説明した、「工作員作業マニュアル」の「【微妙な字体差と包摂規準】 」に示された図のAとBのパターンには、「微妙」とは言い難い、かなり大きな異なりがみられます。
これら29文字が底本に出てくる際は、きわめて高い確率で、Bの形をとっています。
一方、パソコンのフォントは、これもほとんど例外なくAでデザインされています。
そのために、「これはなおさなくてよいのか?」との迷いが、しばしば生まれます。
この疑問はむしろ、生じて当然のものですが、文字コードの例外的な取り決めによって、これらのAとBは、「区別しない」ことになっています。
秀英明朝シリーズは、フォントとしては例外的に、これら29文字のデザインに、Bのパターンを採用しています。
そのために、最終的には「必要なし」と判定することになる、「これはなおさなくてよいのか?」との疑問を、校正者に抱かせることがありません。
【補遺】
「工作員作業マニュアル」の「校正」の項は、電子校正に触れていません。
ここに記述されている内容は、印刷物を作成する際の校正手順の内、「初校」と呼ばれる最初のステップを、プリントアウトを使って進めることを念頭においてまとめられています。
印刷物づくりでは、「初校」に続いて「再校」、場合によっては「三校」、「四校」と校正が重ねられます。
一方、青空文庫では、公開作品を早くふやしたいとの願いから、校正を一度ですませています。
編集や校正の専門家ではない私たちが、簡略した手順でつくったファイルには、誤りが残りがちです。
こうした傾向に歯止めをかけるには、「工作員作業マニュアル」が標準的な作業ステップとして示している、「原稿引き合わせ一回、素読み二回では、不十分」とする指摘がなされるようになりました。
今、作成の準備を進めている新しい「校正の手引き」では、「原稿引き合わせ二回、素読み一回」を標準的な作業ステップとして示し、合わせて「工作員作業マニュアル」の「校正」も、この方針にそって改訂することを検討しています。
校正に取り組まれる皆さんには、正式な方針変更に先だって、「原稿引き合わせ二回」を励行してくださるよう、お願いします。
▼校正の実際2 ファイル修正と修正履歴の作成
一般的な校正作業は、誤った箇所をどう直すかの訂正指示を作るところまでで、終わりです。
一方青空文庫の校正では、ファイルの修正まで、校正者にお願いしています。
ファイルを直し始めると、しばしば修正前の状態を確認したくなります。
青空文庫から送られたファイルは先ずコピーをとり、予備を保存した上で、作業してください。
訂正にあたっては、どこをどう直したかを、記録してください。
記録は、テキストファイルにまとめてください。
以下、「青空」というタイトルの作品を直す場合を例にとって、修正履歴ファイルの作り方を説明します。
青空文庫から送られてきたファイルには、「aozora.txt」という名前が付いているはずです。
エディターなどを使って新しくつくる修正履歴ファイルには、ここに「_kosei」なり「_rireki」なりの文字列をプラスして、「aozora_kosei.txt」「aozora_rireki.txt」といった名前を付けてください。
修正履歴の1行目には、「青空」のように、作品名を記入してください。
続いて、どうをどう直したかを、以下のように列挙していってください。
意昧のない抵抗を → 意味のない抵抗を 【昧】
帯も、兵古帯 → 帯も、緑色の兵古帯 【「緑色の」を追加】
【 】の中に、誤っていた箇所を示してください。
脱字を追加した際は、【「〜」を追加】のように書いてください。
入力者による校正が行き届いた短めの作品では、修正すべき点が見当たらない場合があります。
直すべき点がなかった際も、一応修正履歴を作り、「直すべき点はみつかりませんでした。」と書いてください。
修正履歴は、「何をどう直したか」を伝え、記録しておくための作業メモです。
手引きのために、この文書でははっきり目安を示しましたが、形式の統一性が欠かせないわけではありません。
上記のパターンにあてはまらないものを記載する際には、「伝わればよい」と気持ちを楽に持って、書き方を工夫してください。
修正履歴は、修正前と修正済みテキストの差分を得るツールなどを使ってまとめてもらっても、構いません。
差分ツールの紹介、使い方などについては、準備中の「校正の手引き」で追って紹介します。
修正済みのファイルと、修正履歴は、「aozora」のように作品名を付けたフォールダーにおさめて圧縮し、reception@aozora.gr.jpに送ってください。
圧縮形式は、zip、lzhなどの一般的なものを選んでください。
青空文庫では、今日の人権意識と言語感覚に照らして不適切と思われる表現が作品中にみられる場合、図書カードの備考欄に次のような文言を記載することにしています。
「この作品には、今日からみれば、不適切と受け取られる可能性のある表現がみられます。その旨をここに記載した上で、そのままの形で作品を公開します。(青空文庫)」
作品を校正して、この対処が必要と思ったら、修正済みのファイルを送るメールに、その旨と、どの表現に対して問題を感じたかを記載してください。
▼校正の実際3 確認と点検
一通り校正が「すんだ」段階では、見逃しや修正漏れ、修正の誤りなどが、まず間違いなく残っています。
作業ステップは間違いなく踏んだか。
修正履歴は、訂正済みのファイルと合致しているか。
最後の確認と点検で、校正の「すんだ」ファイルを、校正「できた」ファイルへと高めてください。
★この文章を書いた人→富田倫生★こんな時間に→2006年03月11日 18:33 ★トラックバック「手引き」の観点読みを、「原稿引き合わせ」と勘違いして、「原稿引き合わせ二回」を実行していました。
「原稿引き合わせ二回」について、コメントです。同じ形式で二回引き合わせても、間違いが残る可能性が大きいです。
紙校正の場合には、一度校正して修正したファイルを、別の形(フォントサイズを変える、縦書き/横書きを変える、など)でプリントアウトして二度目の校正をする方がよいようです。
電子校正の場合にも、縦書き/横書き、フォントサイズを変える、など、表示形式を変えることで、間違いが見つかりやすくなります。
Posted by: 門田 at 2006年03月12日 02:42点検部屋が動き始める前から校正をやっていたのですが、当時は外字注記、字下げ注記も気にしなければいけませんでした。
点検部屋が稼働している現在は、注記関係は気にしないで、底本との違いを追うことに集中できると思います。このことも、どこかに加えておいた方が安心して校正できるかと思います。
Posted by: 門田 at 2006年03月12日 03:49たとえば底本が一行20文字ならば、校正紙(もしくはデータ)の表示もそれにあわせます。すると、底本と校正紙の文字配列が一致します。ひきあわせしながら、各行の一番最後の文字をとくに注意していきます。もし、底本と校正紙が一致しないときは、入力もれ、もしくは誤入力のあるサインです。
岩佐又兵衛作「山中常盤双紙」というものが展覧されているのを
一見した。そのとき気付いたことを左に覚書にしておく。
奥州にいる牛若丸に逢いたくなった母常盤が侍女を一人つれて東
へ下る。途中の宿で盗賊の群に襲われ、着物を剥がれた上に刺殺さ
れる、そのあとへ母をたずねて上京の途上にある牛若が偶然泊り合
わせ、亡霊の告げによってその死を知る。そうして復讐を計画し、
詭計によって賊をおびき寄せておいて皆殺しにする。後日再び奥州
から大軍の将として上洛する途上この宿に立寄り懇ろに母の霊を祭
る、という物語を絵巻物十二巻に仕立てたものである。
いちばん右はじの文字「を 東さ合、州祭 」に注意しながら読みます。じっさいには、途中にルビや注記が入るばあいも多いので、なかなかうまくそろってくれませんが。すてきなポカミスが、これであぶり出てくださることがあります。
Posted by: しだ at 2006年03月12日 11:05