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おとずれた沖永良部の九月は東京のつめたかった八月をとりもどすのにじゅうぶんすぎるほどの暑さ。内部に水路を抱く隆起珊瑚礁の島には真昼の強い太陽があり、海があり、黒糖焼酎があり、踊りと三線があり、自生する可憐な花があり、ちいさなグァバの実がそこここで風に揺れているのでした。おまけに台風も来てくれて。古い墓石は島の珊瑚でできていて、古いほど美しく風化しています。死んだひとにお墓にちゃんと入ってもらうためには骨を洗います。奄美大島から来ていたひとはつい最近父親の17回忌に洗骨をしたといいます。土からとりだした頭蓋骨をきれいに洗うと、目の上のあたりには生きていたころのおもかげがあるのだそうです。洗骨をするためにはまず土葬するのですが、最近は死んで土葬にされるのも、死んだひとを土葬にするのも、あまり望まれていないらしい。敬老会ではムラの70歳以上のひとたちが公民館に招待され、ごちそうを食べながら、若者の歌や踊りでたっぷりと祝福されていました。この日のために遠くから島に帰ってきたひともたくさんいたのです。
さて、今月の水牛です。
まずはトップページのイラストがすばらしいので、blogのみなさん、ぜひ見てくださいね。
「水牛のように」を2003年9月号に更新しました。
こうして並んでいる原稿を見ると、みんな移動しているひとたちなのだとあらためて思います。
初登場の地田尚さんは青空文庫の工作員のひとりです。掲示板というしくみにいまだに慣れることができない私は、毎日のように端正な文体で書き込んでいる地田さんにとても興味を持ちました。すぐに過去ログとなって埋もれてしまうのがもったいないとも思いました。ご本人にはやはりちゃんと下心があったのですね。
「水牛通信電子化計画」は1984年1月号を公開しました。
水牛楽団愛唱歌詩集といったおもむきの一号です。雑誌をひらくと、右のページに詩があり、左のページは柳生弦一郎さんのイラストがある、という編集になっています。イラストは顔一面にホネの模様があるひとや、全身がホネ模様におおわれたねこや、何ともいえないヘンなどうぶつのようなものや。これらもやがてはお見せしたいものです。詩は水牛楽団がレパートリーにしていたもののごく一部なので、つい歌いながら校正しました。長谷川四郎さん訳のロルカの詩に林光さんが作曲した「新しい歌」、パラオのアルフォンソ・ケベコールさんが日本語で書いた「戦さのはげしかったころ」、ハワイの「フジムラストア」、そして「パレスチナの子どもの神さまへのてがみ」など、なつかしく初演のころを思い出します。
「水牛の本棚」は今月も更新なし、です。
そのかわり、というわけでもないのですが、お知らせをふたつ。
●「水牛のように」でおなじみの冨岡三智さんがジャワで作ったソロ作品「妙寂」を踊ります。11月19日、大阪市浪速区のArt Theater dBで。ちらしによると18時と20時の2回公演のようです。問い合わせはDANCE BOX 06-6646-1120、dancebox@rock.sannet.ne.jp。
●電子出版のイデオローグにしてボイジャーの社長萩野正昭さんのサイト「股旅ノート」がオープンします。今までなかったのが不思議なほどですが、萩野さんのこの10年間の軌跡と思想がぞんぶんに展開されていく予感。インターネットや本、それから映画に関心があるひとは必読です。公開まで少し時間差があるかもしれませんが、読みにいってください。
それではまた!(八巻美恵 suigyu@collecta.co.jp)
★この文章を書いた人→八巻美恵★こんな時間に→2003年10月01日 10:46 ★トラックバック