てふてふ君の症例検討会(その 9)
【はじめに】 前回の検討会、いかがでしたか?アクセント記号の変換という「大物」のごく一端だけで、ご不満の残るものになったかと悔やんでいます。今回は、「画像の挿入」という別の大物に取り組みます。恒例により、今回も、Sさんから熱きご要望がありましたので、紹介します。(マタカヨ!(-_-))
【症例】アンデルセン「雪の女王」
【主訴】右図のような、せっかくの挿絵が表示されない。
【現病歴】又又、メールを以て替えます。
暑い日が続きますが、いかがお過ごしですか?おかげで、加藤道夫「なよたけ」の舞台稽古も順調に進んでいます。聞けば、台本に限りなく近い形で仕上げて頂ける旨、楽しみにしております。さて、最近は、忙しい稽古の合間に、童心に返り、アンデルセンの童話を青空文庫で読んでいます。また厚かましいオネダリですが、たしか、楠山正雄さん訳の童話ではちょっとクラシックな挿絵があったように思います。できればその挿絵が PDF でも表示できるようにして頂けませんか?よろしくお願いします。
解決策(処方箋)は、続きにあります。
【その処方】画像の処理は、結構奥深いものがあり、どの TeX の成書をみても、一章以上、割かれています。青空文庫の画像は、最近では、png 形式になっていますが、TeX 処理の場合、jpg や gif も含めて、画像の大きさが最初から把握できないことが、大きなネックになります。TeX 処理と「馴染み」のある、Postscript をベースにした、eps 画像だと、その点、はじめからファイル内に記述され、大きさが分かっているので、処理がたやすくできます。最大の欠点は、基本的にはテキストファイルなので、ファイルサイズがデカクなることです。png 画像であっても、そのファイルを別のファイルに記録できるコマンドがありますが、処理が複雑になりますので、今回は、デメリットに目をつむり、eps 画像を用います。(なぜか、サーバでは、png 画像だと、受け付けないのも、その理由です。)
そのためには、まず下準備が必要で、png 画像を、eps 画像に変換しますが、ImageMagick という画像処理プログラムを使うのが手っ取り早いでしょう。今回は、そのコマンドのうち一つだけ、convert コマンドを使用します。ImageMagick は、Windows 用や、Mac OS X 用もあると思います。各 OS のターミナル(同等のプログラム)で、青空文庫テキスト zip ファイルを解凍して、
% unzip 42387_ruby_20531.zip % convert fig42387_01.png fig42387_01.eps % convert fig42387_02.png fig42387_02.eps % .... 以下同様
とします。後は、TeX ソース内を、順次、
%\hspace{3zw}% 挿絵の前に空白を入れたい場合
\includegraphics[scale=0.3,angle=90]{fig42387_01.eps}
と変更していきます。ここでのポイントは、画像挿入は「横書き」を前提にしていますので、「縦書き」の場合は、angle=90 と直角に回転されるようオプションを記述することです。また、元の画像は結構大きいので、scale=0.3 と、0.3 倍に縮小して表示させます。画像を少し下に置きたい場合は、コマンド冒頭に適当に、\hspace{3zw}と空白を入れてください。ただし、あまり画像の表示上のサイズや画像に先立つ空白を大きく取ると、画像がずれてしまいますのでご注意ください。もし、ImageMagick の持ち合わせがないなら、一端、「てふてふ君」で、PDF を作ってから、「処理結果」ページの「全てのファイル一覧」から、拡張子 eps のファイルをダウンロードしてお使いください。(「てふてふ君」の自動処理ではこのようになっています。)
これで、楠山正雄訳のアンデルセン童話の挿絵は完璧と思いましたが、以下の作品でのテキストファイルに「バグ」があり、画像が PDF に挿入されません。改めて、修正したテキスト+ png 画像ファイルの zip ファイルを置いておきますので「てふてふ君」では、以下の URL をご使用ください。
- アンデルセン「幸福のうわおいぐつ」(画像ファイル名が一部「全角」数字になっている)
「てふてふ君」用 → 42380_ruby_20836.zip - アンデルセン「小夜啼鳥」(zip 圧縮ファイルに、png 画像ファイルが含まれない)
「てふてふ君」用 → 42381_ruby_18649.zip - アンデルセン「人魚のひいさま」(html では、画像は表示されず、注記だけですが、PDF 作成時には問題ありません)
【おわりに】 今回の検討会、いかがでしたか?「雪の女王」で、少しは涼しさをお届けできたでしょうか?今回の「画像処理」ですが、青空文庫に収録された画像が付いた全ての作品に対応出来ていないことをご承知おきください。明日から 8月、この検討会もちょっと夏休みとします。休み明けは、今までと趣向を少し変えて、前回取り上げた、チェーホフとユゴーの作品を使って、一冊の本にまとめる方法を検討いたします。宿題というわけではないのですが、皆さんも挑戦してみてください。(このあたり、psitau さんの「青空スタイル」の説明が参考になりそうです。)また、旧青空ブログに連載されていた、大久保ゆうさん訳、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ「あのときの王子くん」(星の王子様)を、画像入り PDF に仕立て上げるのも面白いかもしれません。夏休み中も、「てふてふ君」に変更を加えた場合は、適時お知らせします。では、皆さん、夏バテしないようにね。

