てふてふ君の症例検討会(その 5)
【はじめに】 「青空パッケージ」の作者、psitau さんから、この検討会に何回かコメントをいただきました。頼もしいアドバイザーが付いていただき、心強い限りです。順次、ご助言の部分は訂正してゆきますが、今後ともよろしくおねがいします。さて、前回の検討会いかがでしたか?日頃あまり意識しない紙面サイズの話なので、面白くなかったかもしれませんね。今回からはまた具体的作品を取り上げて行きたいと思いますので、気長にお付き合いください。手始めに、最近、公開された、『「吶喊」原序』など魯迅の作品を取り上げます。
【症例】井上紅梅訳 魯迅「吶喊」原序
【主訴】 作品の最後に、変な数字みたいなのが付く。
【現病歴】 続々と魯迅の作品が公開されて楽しみにしています。紅梅訳は以前読んだ、「岩波版魯迅選集」とは、また違った
解決策(処方箋)は、続きにあります。
【その処方】 この現象は、青空文庫テキスト注記の表現の「ゆらぎ」から起こっています。該当場所の注記は、「 一九二二年十二月三日[#地から6字上げ]北京において魯迅しるす」と一行になっており、この場合の TeX ソースは、
\begin{flushright}\advance\rightskip%
一九二二年十二月三日6zw
北京において魯迅しるす\end{flushright}
と余分な、6zw が「一九二二年十二月三日」にくっつく格好になります。そこで手動的には、
一九二二年十二月三日%
\vspace{-0.5\baselineskip}%
\begin{flushright}\advance\rightskip6zw%
北京において魯迅しるす%
\end{flushright}
と、\begin{flushright}で始まるflushright 環境を後の行に持ってきます。\vspace{-0.5\baselineskip} を途中に入れたのは、flushright 環境の前での改行幅をすこし狭くするためです。以上の変換を、「てふてふ君」には組み込みました。これで、同じような注記のある作品(たしか「夜明け前」にあったような?)にも対処できたと思います。
【おまけ】
希望は本来有というものでもなく、無というものでもない。これこそ地上の道のように、初めから道があるのではないが、歩く人が多くなると初めて道が出来る。
とは、魯迅「故郷」の有名な結びですね。この一節を含めて、叙情性のあるこの作品がとりわけのお気に入りです。ただ惜しむらくは、一字だけ※[#「孛+鳥」、105-11]という文字は、UTF-8 にもなさそうで、表示できません。とりあえずの策として、たしか奥村先生の著書にあったマクロを応用して、以下のコマンドを作ってみました。
\newcommand{\LRkanjiTate}[2]{%
\scalebox{1}[0.5]{\makebox[2zw]%
{\rensuji{#1\hspace{-0.1zw}#2}}}}
\hspace{-0.5zw}%
\ruby{\LRkanjiTate{孛}{鳥}%
\hspace{-0.5zw}鴣}{\hspace{0.5zw}のばと}
秘密工作員 Z さんのご教示により、以下のソースが適切だと訂正します。
\ruby{\UTF{9D53}鴣}{のばと}
こんなやり方もあるとのことで、元の画像は残しておきます。下記 PDF とソースおよび「てふてふ君」は修正しておきます。
今回の検討会、いかがでしたか?次回は、また文字コードの問題に戻って、ローマ数字の表現例として、「優しき歌 ⅠⅡ」など立原道造の諸作品を取り上げてみたいと思います。お楽しみに!



「孛+鳥」は unicode では 0x9D53 です。
JIS X0212 (補助漢字)にありますので、\UTF{9D53}として、MS明朝/ゴシック、小塚明朝/ゴシック(AJ1-6版)でつかえます。
>秘密工作員Z さんへ
ご教示ありがとうございます。早速直しておきます。ただ、Mac OS X のヒラギノフォントでは、該当箇所が「豆腐」になります。ここらへんが難しいところですね。8 倍くらい、サイズは大きくなりますが、小塚明朝を埋め込むように設定を変えました。Ryumin-Light フォントがないという警告は出ないようになりました。